原発建設に一番近い人が原子力発電所の真実について語っています。
実はすでに癌で亡くなられている方で、福島第一原発事故よりずっと前、
阪神淡路大震災の翌年1996年に語られた内容なのですが今の今までこんな貴重な証言があったことを知りませんでした。
ひょっとしたら何らかの力が働いて表に出てこなかったのかもしれませんね。

読んでみて感じたのは、これはある意味、原子力発電所の真実ではなく、日本という構造上の欠陥。
もっというと、人間という構造を知るための資料として非常に参考になる意見だと思います。

□ 原発がどんなものか知ってほしい(全)

Fukushima 1 Nuclear Power Plant_02
Fukushima 1 Nuclear Power Plant_02 / hige-darumaひげだるまattractive woman Version


書いた方は長年、原発建設に携わっていた現場監督の方です。
幾つか衝撃的な部分を引用させて頂きます。

□ 素人が造る原発
ひとむかし前までは、現場作業には、棒心(ぼうしん)と呼ばれる職人、現場の若い監督以上の経験を積んだ職人が班長として必ずいました。職人は自分の仕事にプライドを持っていて、事故や手抜きは恥だと考えていましたし、事故の恐ろしさもよく知っていました。それが十年くらい前から、現場に職人がいなくなりました。全くの素人を経験不問という形で募集しています。素人の人は事故の怖さを知らない、なにが不正工事やら手抜きかも、全く知らないで作業しています。それが今の原発の実情です。
今(と言っても20年近く前になりますが。。)、原発を作っているのは素人たちだそうです。
どんなに仕組みが緻密で素晴らしいものであってもそれは設計までだそうです。
仮に、現在は少しは変わっているとしても、今、存在する原発に関しては素人が作ったもので間違いないでしょう。

□ 名ばかりの検査・検査官
 水戸で講演をしていた時、会場から「実は恥ずかしいんですが、まるっきり素人です」と、科技庁(科学技術庁)の者だとはっきり名乗って発言した人がいました。その人は「自分たちの職場の職員は、被曝するから絶対に現場に出さなかった。折から行政改革で農水省の役人が余っているというので、昨日まで養蚕の指導をしていた人やハマチ養殖の指導をしていた人を、次の日には専門検査官として赴任させた。そういう何にも知らない人が原発の専門検査官として運転許可を出した。美浜原発にいた専門官は三か月前までは、お米の検査をしていた人だった」と、その人たちの実名を挙げて話してくれました。このようにまったくの素人が出す原発の運転許可を信用できますか。
作る人間が素人ならそれを検査し運転許可する人間も素人だという話。

□ いいかげんな原発の耐震設計
1993年に、女川原発の一号機が震度4くらいの地震で出力が急上昇して、自動停止したことがありましたが、この事故は大変な事故でした。なぜ大変だったかというと、この原発では、1984年に震度5で止まるような工事をしているのですが、それが震度5ではないのに止まったんです。(中略)5で止まるように設計されているものが4で止まったということは、5では止まらない可能性もあるということなんです。つまり、いろんなことが設計通りにいかないということの現れなんです。 
計算通りにいかないのは世の常ですが、「計算通りにいかなかったよごめんなさい」で済まないのが原発です。

□ 普通の職場環境とは全く違う
稼動中の原発で、機械に付いている大きなネジが一本緩んだことがありました。動いている原発は放射能の量が物凄いですから、その一本のネジを締めるのに働く人三十人を用意しました。一列に並んで、ヨーイドンで七メートルくらい先にあるネジまで走って行きます。行って、一、二、三と数えるくらいで、もうアラームメーターがビーッと鳴る。中には走って行って、ネジを締めるスパナはどこにあるんだ?といったら、もう終わりの人もいる。ネジをたった一山、二山、三山締めるだけで百六十人分、金額で四百万円くらいかかりました。
ネジ一つ締めるのに30人がかりで400万だそうです。
これが原子力発電所の現場の現実。

□ びっくりした美浜原発細管破断事故!
この事故はECCS(緊急炉心冷却装置)を手動で動かして原発を止めたという意味で、重大な事故だったんです。ECCSというのは、原発の安全を守るための最後の砦に当たります。これが効かなかったらお終りです。
自動停止装置が効かなかったとのこと。
これも計算通りに行かなかった例の一つですが、計算通りにいかないのが多すぎるような気もします。

□ もんじゅの大事故
ある時、電話がかかって、「配管がどうしても合わないから来てくれ」という。(中略)もんじゅは、日立、東芝、三菱、富士電機などの寄せ集めのメーカーで造ったもので、それぞれの会社の設計基準が違っていたのです。
 図面を引くときに、私が居た日立は〇・五mm切り捨て、東芝と三菱は〇・五mm切上げ、日本原研は〇・五mm切下げなんです。たった〇・五mmですが、百カ所も集まると大変な違いになるのです。だから、数字も線も合っているのに合わなかったのですね。
ここまで行くとなんか笑い話にしかなりませんよね。
本当は笑っちゃいけないのでしょうが。
でも、これが日本という国のシステム(仕組み)です。

□ 日本のプルトニウムがフランスの核兵器に?
世界中が諦めたのに、日本だけはまだこんなもので電気を作ろうとしているんです。
そういえばオーストラリアやニュージーランドには原発はないみたいですね。

□ 日本には途中でやめる勇気がない
原子力局長をやっていた島村武久さんという人が退官して、『原子力談義』という本で、「日本政府がやっているのは、ただのつじつま合わせに過ぎない、電気が足りないのでも何でもない。あまりに無計画にウランとかプルトニウムを持ちすぎてしまったことが原因です。はっきりノーといわないから持たされてしまったのです。そして日本はそれらで核兵器を作るんじゃないかと世界の国々から見られる、その疑惑を否定するために核の平和利用、つまり、原発をもっともっと造ろうということになるのです」と書いていますが、これもこの国の姿なんです。
ノーと言えない日本が結果としてプルトニウムというゴミを持たされてしまった。
福島第一原発事故初め、一連の原子力発電所の事故は無計画、無責任な政治家の仕業だったのですね。

□ 廃炉も解体も出来ない原発
最初、耐用年数は十年だと言っていて、十年で廃炉、解体する予定でいました。しかし、一九八一年に十年たった東京電力の福島原発の一号機で、当初考えていたような廃炉・解体が全然出来ないことが分かりました。このことは国会でも原子炉は核反応に耐えられないと、問題になりました。 
なぜ、廃炉できないものを作ってしまったのか?
結果、事故を起こし、強制的に廃炉せざるを得なくなってしまいました。

□ 原発がある限り、安心できない
 原発は確かに電気を作っています。しかし、私が二〇年間働いて、この目で見たり、この体で経験したことは、原発は働く人を絶対に被曝させなければ動かないものだということです。

この記事を読んでわかったことをまとめてみようと思います。
  1. 原発で放射線漏れは防げない。
  2. 原発の工事は素人が行っている。
  3. 原発の管理も素人が行っている。
  4. 原発工事はかなり杜撰。
  5. でも国際的な事情でやめられない。
そんな中、福島第一原発の事故が起こるべくして起こったわけです。
果たして、これは変わるのか?

もう、原発工事はしないということであれば 「2.」、「4.」は解決します。
ただし、「1.」はもう作ってしまった限り避け用のない事実です。
「5.」もいまさら国際的な事情なんていってられません。
今の安部総理はどうなんでしょうか? 元に戻っていませんか?

で、一番のポイントは「3.」だと思うんですよね。
合わせて廃炉のための工事という考えとして「2.」や「4.」も二度としてはいけない。

現在の工事状況がどうかはわかりません。
おそらく、多少は改善されているのだと思います。
いや、改善されていないと困る。

とは言え、どこまでモチベーションが持つのでしょうか?
震災後すぐであればみな、使命に燃えてプロ意識をもって廃炉を進めていたでしょう。
ただ、先の見えない作業。心が折れてしまわないか心配です。
生涯かけてやりぬくといった気概のあるプロ意識を持った職人が今の日本にどれだけ存在するのかがポイントでしょうか。

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設計段階の原子力発電所は確かに放射線、放射性物質漏れをおこさないよう、緻密に計算されていたのだと思います。
ただし、ここで学ばなければ行けないのは人間はミスを犯すものであるということろですね。
一方で、原子力発電所の建設にはミスが許されないというのもひとつ。
ミスをすれば漏れないと言っていた放射線、そして放射性物質が漏れ、それは数万年と消えないわけですから。

簡単な事です。
  • 人間はミスを犯す
  • 原発にミスは許されない
この二つを同時に考えれば原子力発電所の建設、管理は無理だということがわかると思うんですよね。
それでも作ってしまっていた。

つまりですね。
人間は、人類はバカだと。
そういうことですね。

さて、先日、東京都知事選挙が行われ、「舛添要一」氏が当選いたしました。
脱原発を高々と掲げた元首相の「細川護煕」氏、同じく脱原発で共産党の支持を受けた「宇都宮健児」氏は落選。
また、原発推進の「田母神俊雄」氏も落選となりました。
当選した舛添氏がどういった立場かというと本人は脱原発と言っていますが、一般的な評価は中立(むしろ推進より?)だったわけです。
これから、舛添氏は原発問題に対してどういった動きを見せていくのか?
注目するとともに、世論はどこまで原発を理解しているのかも気になるところです。 

最後に。
ここまでの話、全て「放射能」=「悪」という話のもとに成り立っています。
少しでも浴びたら体に悪いという一般的な理論ですね。
が、しかし、以前書いた以下の記事が真実であったら。 。
□ 「ラドン温泉の法則」低線量放射線被曝が体に良いは本当だった

もっとも、低線量じゃ済まされないような量の放射性物質が福島第一原発にはあるわけです。
どうにかしなきゃいかんですよねぇ。。