以前の会社をやめて半年以上たちました。
以前の会社も体制が大幅に変わり、ここで言う「老害番長」に当たる様な人間は去って行き、
加えて経営権も70代社長から40代常務に移り変わり、立て直しを図っているようです。
ただ、まだ退職金が払われていないのは秘密です。

今回は、僕が辞める一因にもなった「老害番長」が生まれるメカニズムを語ってみたいと思います。
「老害番長」もなりたくて「老害番長」になったわけじゃないんです。
ある意味、そういった時代、及び地域性のメカニズムの被害者なんですよね。


その前に「老害番長」とはなんぞや。ということですが、つまり、精神論ばかり説いていて、生産性や効率化等を一切考えない中間管理職のことを言っている(自分)造語です。
会社においても、そもそも、なんのために働いているのかがわからなくなってしまい、中には自分の仕事を作り出すことが仕事、みたいな訳のわからない状態に陥っている人もいます。
ひどい人になるとオタクはダメだ、女はダメだなどとのたまい、自分のダメなところに全く気づいていない。
おそらく、こういった方に悩まされている人、結構いるんじゃないでしょうか?

ただ、前述のとおり、本人はこうなりたいと思ってなったわけじゃないんです。
時代がそういった人材を創りあげてしまった。
彼らもまた、被害者なのです。

バブルの功罪

おそらく一番の弊害はこれなんじゃないかと思います。
一度成功した人間はそれが正しいと思ってしまう。
仕方がありません。

バブル経済の時代はやればやるほどお金が増えてきたのです。
つまり、機械のように、歯車のように働くことで利益がどんどん上がってきたんですね。
それが正しいというのが身にしみ付いてしまっているんです。

ただ、頭の良い人はこれだけじゃダメってことが分かっているはずなのですが。。

デジタル化、IT化への対応の遅れ

バブル崩壊とほぼ同時期に訪れたのがデジタル化、IT化の波です。
この時期、既に中間管理職となってしまっていた「老害番長」は残念ながらこの波に乗り遅れることになります。
パソコンのできる部下に任せてしまい、自分は人の管理に徹してしまったわけです。

当然です、中間管理職の主な仕事は組織をまとめること。
現場レベルの仕事もこなしていかなければいけないこともありますが、まずはリーダーとして人をまとめていく仕事が中心になってきます。

ここでずるい人はうまいこと遅れを取らずにやっていたかもしれません。
ただ、会社に忠誠心の高い人材であればあるほど一番の仕事である人の管理に徹してしまい、デジタル化、IT化に遅れを取ってしまう。
彼らも必至なんです。
上と下との板挟みですから、新しい技術を身に付ける暇などありません。

そんなことをしている間に、デジタル化、IT化は企業の効率を飛躍的にアップさせました。
場合によっては中間管理職がいらなくなってしまう程の影響を会社にもたらしたのです。
つまり、必至で会社の為を思って働いていたらいつのまにか居場所がなくなってしまっていたわけです。
だからといってここで辞めるわけにはいきません。
そこで、精神論ばかり語り、虚勢を張るしかやることがなくなってしまうわけです。

地域性による問題点

都内の企業であればあっという間に影響が出て場合によっては会社がなくなってしまったかもしれません。
もっとも、この辺りは業種にも寄るとは思いますが。。
少なくても印刷業界においては様々な企業が倒産して行きました。
過去にも何度か記事にしています。
□ 印刷業者の倒産動向調査

ただしここは北関東、状況が違いました。
アメリカで起こることは時を経て日本で起こる。
中央で起こることは時を経て地方で起こるのです。
地方のタイムラインは東京のそれと比べたら非常に緩やか、
つまり、そのタイムラグのおかげでここまで長らえたわけです。

加えて市長が無投票で簡単に再選してしまうような保守的な地方都市ですから、
声たかだかに「俺は正しい!」という老害番長の主張が通ってしまう。
そしてあながちこの地方ではそれが間違いではなかったりするからまた困りものだったりするんです。
あくまでも、現状に限りですけれど。

ただ、地方とはいえ緩やかに時代は流れているのです。

中小企業の悲哀

加えて中小企業という組織形態もいけなかった。
大手のような大企業ですとPDCAサイクルがうまく機能し、そういった問題点を日常の中で是正していくシステムができているのですが、中小はそういったところがない。
こと、管理職に置いては自分で考え自分で処理するしかないのです。
なんといっても以前の会社は社員ミーティングを経営者がやめさせるくらいの会社でしたから。

つまり、まわりが見えなくなってしまうんですよね。
下の意見をうまく吸い上げてそれを反映していく余裕のある管理職であればいいのですが、
ここでも会社への忠誠心が逆効果に働き、めくら滅法精神論で押し通してしまう。
まあ、その方が上には頑張っているように見えるので好都合だというところもあるのでしょうが、
経営陣含めてこれは大きな勘違いなんですよねぇ。。

仕事は何のためにしているのか?
楽して利益を上げられればそれに越したことはないわけです。
ただ、楽しているふりを見せると印象が悪いので無理やり苦労する。
そんな勘違いを誰も是正できない。これが中小企業です。

「老害番長」の有益性

では、老害番長は排除するしかないのか?
実は限定的ですが老害番長も会社に良い影響を与えています。
それは、規律です。

会社によっては規律が生産性を高める業種もあります。
工場経営などはそういった部分が大きいでしょう。
ただしそういった仕事は徐々に機械化され、縮小の一途をたどっているのも事実です。

まとめると。
  • バブル時代に歯車として働いて実績を上げてきた自信があり、自分は正しいと思っている。
  • デジタル化、IT化の波に乗り切れず、逆に仕事を奪われ、虚勢を張るしかなくなってしまった。
  • 時間の流れの遅い地方においてはそれでもなんとかやっていけてしまった。
  • 問題解決のシステムのない中小企業で誰も間違っていることを伝えられなかった。
こんなところが「老害番長」を発生、生きながらえさせた要因だと思っています。

ただですね。
前いた会社も自分が去ってから変わってきたようですが、
こういった会社は少しづつですが淘汰(倒産等)されてきています。
タイムラインの流れが遅い地方でも時代は着実に移り変わってきているのです。

やがて、「ああ、そういえばああいう人いたなぁ。」なんて時代がくるかもしれません。
そういえば、「ヤマンバギャル」って今、存在しているんですかねぇ。。